名誉院長のブログPage9


名誉院長からのメッセージ

 

歯科衛生士

名誉院長からのメッセージ  《81~90》


90.《私の転職人生 虫歯その5》
89.《私の転職人生 虫歯その4》
88.《私の転職人生 虫歯その3》
87.《私の転職人生 虫歯》

86.《私の転職人生》
85.
《感覚のダイナミックレンジ》
84.《探検》
83.《入れ歯の話》
82.《大學入試》
81.《噛み合わせを測る器機》


                  ⦅Vol71~Vol80⦆>>



90.《私の転職人生 虫歯5》

私の転職人生  虫歯5    第90回
 病気を取り除いて歯を残し、生涯に渡り自分の歯で物を食べて天寿を全うする。歯科医師としてこれがしたい。
 これを実行するためには、多くの人材確保と膨大な設備投資が必要になる。今までの世間の常識(歯は痛くなってから治療する)との戦いが必要になる。そしてお金があまり儲からない。実行する人いると思いますか? いるわけないでしょう!! だからあなた痛くなってからいらっしゃいと優しく帰す。その結果は-----ですね。
 もし、お父さんとお母さんがムシ歯はいったん出来たら治らない、ある一定の限度を超えてから治療に行ったら手遅れで歯は残らないという事をよく理解して、子供さんの口の中に歯が一本生えてきた時から診せに行き、小さな虫歯を徹底的に治療し、コンピューターに登録して定期的に検査し予防したら生涯虫歯で抜かれることはありえない。医療費は激減する。友人の脳外科の話では、やはり噛めない人は人生の後半で多くの医療費が必要だと聞きました。
 歯の治療に痛い思い、嫌な思いをしないでお金がかからない。これ以上の医療費節減はない。それをするために行政が税金を使い1歳半、2歳、3歳と健診をしているわけです。
 しかし、やっている方も、受けている方も今までの健診の経験から失礼ながら、あまり理解をしていないようです。
噛む面にムシバがある口腔内写真を見せて。どの部分が重症だと思いますか? と質問すると、噛む面ですと自信を持って多くの人が答える。しかし見える部分よりも実は歯と歯の間の部分が重症になることが多い。まえに説明した様に殆どの隣接部分が重症。表から見たら殆どわからない。
 初期に治療をしたら差し歯や入れ歯にならないが、もし治療するとあそこの歯医者は痛くもない歯を治療した、又は他院でツメタ物まで外す悪徳医と直ちに悪評がたつ。
 ですから地域で悪徳歯医者と有名になりました。多くが噛む面に詰め物が詰まっているが、歯と歯の間が治療されていないことが多い。
だから、マジメに歯間部の治療をすると痛くもない歯や、他院で詰めたものまでトル悪徳医と言われる。歯と歯の間の治療は複雑で時間がかかり患者さんのために一生懸命説明して、なんでそこまで言われながら治療する必要がありますかね?
疾病保険は、たくさん差し歯、抜歯、入れ歯にして、寝たきり老人が増えるとお金になるシステムなので、思わず患者様と言いたくなるのは理解できます。
 しかしどれだけ無駄な医療費を使っているのですかね?
今までに4回テレビで後藤歯科が放映されて、北は北海道から南は九州の離島からも患者さんが見ました。どこに行って、ものすごいお金をかけたが、噛めない、入れ歯で喋れない。口が開かない、などの主訴でテレビの出演後に4本の電話が毎日鳴りっぱなし。ほとんどがクレームと、相談で膨大な時間を費やしました。その時にいかに歯科の治療に対するクレームが多いかを実感しました。ある程度想像はしていましたが、身に染みて理解しました。これは、いくら本を読んで、頭で想像してもテレビに出なければ不可能と思います。おかげで一生かかっても診られないくらいの難症例を診ることが出来多くを解決しました。
 しかし、他院でトラブルを何回も起こして、ドクターショッピングを繰り返している何名かは、人の話を聞かないし、自分が診断をくだして、このようにしろと専門家に命令する人は治療できませんでした。以前に後藤歯科の番組がユーチューブに上がっていました。
 今あるか分かりませんが時間のある方はご覧ください。
📺出演後に3時間くらいかけて高齢の女性が来院されました。チェアーに座るなり遠いので私はあまり通院できませんが、というので口腔内を診ると、多くの残根の上に総義歯が入っていました。殆ど噛めないので気の毒なので説明後に残根を全て抜歯、入っている義歯を何回も修理をして咀嚼機能と顎関節の変化を見てから、最終的に機能咬合器を使用し総義歯を制作。2年くらいして、初診時の顔面写真を見て顔面の変化に驚きました。
先ず、第一印象は、他人と思われるくらいの顔面の変化。特に、目つき、のっぺりしていた顔が、誰が見ても筋肉がつき、見違えるほど若くなりました。又、首の部分も年相応にしわがありますが、明らかに筋肉がついて張りがある感じ。患者さん自身も驚いていました。比較写真を他の患者さんに見せてもよいかとの質問には、私がこんなに良くなったので、喜んで他の人の役に立つなら使ってくださいと快諾を得ました。それ以来、その写真を使い患者さんの説明をした後に見せて、年齢を問うとほぼ100パーセント年齢を当てることが出来ませんでした。多くが70代と言いますが、実際は90歳でした。さらにオドロイタことに、足腰がしっかりして体調が良くなったので趣味を始めましたとのこと。
何ですか?と尋ねると、恥ずかしそうに社交ダンス!! (失礼ながら初診時あのよれよれの方が)さらに帰るときに、お尻を叩いて、先生筋肉がついてきましたと、嬉しそうに話をして受付を後にしました。今でもその光景は忘れません。
当医院は、おじいちゃん、おばあちゃんが来院して良くなると家族全員で来院することが多いです。そして高齢者が亡くなると連絡を頂き、それとなく問うと、寝たきりの時間が短いようです。長年患者さんとの関係が出来て分かったこと。やはり噛めるということは素晴らしい人生を送ることが出来るとこの年になり、ようやく理解することが出来ました。多くの患者さんの協力のもとに教科書にはない、多くの事実を知ることが出来ました。患者さんに感謝です。
 これらをようやく理解できるようになったら最前線から退く時期になりました。
多くの先輩に教わり、後藤歯科のスタッフにきびしく教え、短時間のうちに多くの設備投資をしました。
これらは私一人では出来ないこと、今の院長をはじめ多くの有能なスタッフとの出会いがあり、成し遂げることが出来ました。皆さんと、それをさせてくれた家内に感謝です。 この虫歯シリーズ終わります。          2024-2-1


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89.《私の転職人生 虫歯4》 
 

私の転職人生虫歯その4            第89回
歯に詰め物をすれば虫歯は治る? つめる材料には虫歯を殺す力は、ほぼない。
 では虫歯の治療は何や? という事になります。
 実は虫歯の治療は、ある意味ガンの治療ととても良く似ています。一言で表現するなら、悪い部分をすべて取り除く。 だからガンで胃を全部取った人が多いわけです。でもガンはなぜ悪い奴かというと中には体の違う部署に遊びに行くやつがいるわけです。だから困る。  幸いムシ歯は転移しないので悪い部分をすべてとれば治療はおしまい。しかし治療が終わっても穴が開いているとご飯が食べられないので仕方がないから金や銀、今では強化プラスチックなどで埋め立て工事をするわけです。(そう簡単ではないが)
 もし虫歯の転移先が鼻の頭に限定する病気としたら、電車に乗っていたら鼻の頭がゲジゲジとか半分くらい無いとか。しかし今はマスクを多くの人が着用しているので、わからなくてよかったですね。
 そーです、虫歯の治療とは悪い部分をすべて取り除くのが治療です。それで治療はおしまい。理論的にわかりますね!!しかしこれを実行するのはそう簡単ではありません。縷々書きました様に早期に処置したら、差し歯、入れ歯、総入れ歯は虫歯に関してはありえないと思います。理論的に理解できたと思います。
 しかし、早期発見がとても難しいのが現実。実は表面だけ見るとムシ歯は殆ど素人にはわからない。多くの虫歯は歯と歯の間に出来ることが多く、入り口が小さく表から見つけるのは専門家でもとても難しい。これを見つけて説明後に治療してもトラブルになったことがあります。一旦できた常識に対処は難しい。「痛くもかゆくもない、なんでもない歯をこんなに削る悪徳歯医者と」過去にクレームがついたことがありました。(前に説明しましたが虫歯は入口が小さく中が大きいのです)挙句の果ては痛くもない歯を削る悪徳歯医者とマスコミから叩かれた同僚もいました。「実は歯科医師が少ない時代、痛い歯牙のみ、いじるのが常識、この常識を一個人が変えるのは殆ど無理。」初診後、資料をもとに説明をすれば、レントゲンでお説教したの、脅かされたなどのうわさが立ちます。何回も言いますが、入り口が小さく中が大きいので、医学的に見たら当然の行為であることは誰の目にも明らかだと思います。
 だから初期に処置したら、差し歯、入れ歯、インプラントがなぜ必要になるのでしょうか?私の考えはオカシイですかね? 一般的に早期治療するよりも、患者さんが一番喜ぶのは、あなた痛くなったら直ぐにいらっしゃいと優しく話をして帰す。患者さんの反応は、なんて親切な歯医者さんでしょうとたちまち評判になる。すると患者さんは時間の経過とともにイタイイタイと来院するわけです。やがて抜歯、短時間で歯が入ったと、先生通院回数が少なくて良かったととても喜びます。それを何回も繰り返すと、歳をとり歯が無くなり、問題の寝たきり老人になるわけです。歯科医師が少ない時代は仕方がなかった、歯科医院がコンビニより増えたのに、これってオカシクないですか?
マスコミでは、かつて痛くなったらいらっしゃいは、親切な歯医者の代名詞のように言われましたが、これって本当に親切ですか? あなた痛くなったらいらっしゃいは、医学的に考察すると、あなた治らなくなってからいらっしゃいと全く同じ意味だと思いますが?
何で歯科の健診を一歳半、二歳、三歳、学校健診をするのでしょう?
みな痛くなってから(症状がでてから)治療しても良いなら、歯の健診はあまり意味がないと思いますが? 歯医者が出掛けて行って、C1、C2などとやるわけです。これらは税金を使ってやっているわけです。税金を安くしてくれと言いたい。
 こういう話をすると、お父さん、お母さん方で歯のない人がいっぱいいるわけです。感想は? 失敗した!! 先生私は初めて歯医者に行ったときにこのような話を教えてくれたら、こんなに差し歯、入れ歯、インプラントは必要なかった。お金をかけずに済んだのに。その先生は、なぜ教えてくれなかったのかと中にはなげく人がいるわけです。このようなことは絶対に教えない。理由は、現行の保険制度は疾病保険と言って将来患者さんの口の中を差し歯、入れ歯にしないようにいくら話をしても一銭にもならない。言いづらいが患者さんの口の中を悪くして、たくさんの差し歯、入れ歯等をした方がお金になるシステムだからと自分は思います。多くの人が赤信号を超えてからしか来院しない。だからいくら歯医者に行っても、やがて総入れ歯に近い状態になる人が多い。
 将来寝たきり老人にならないように話をしたかったら、ボランティアで説明しなさい。診療を放り出し、患者さんへの説明を1時間しても、2時間しても現行の保険制度ではあなた一銭にもなりませんよ、変わり者扱いされた上に、初めて行ったのにお説教されたの、脅かされたのと言われ、その上一銭にならないうえに評判が悪くなる。(だから耳元で悪魔がささやきます、痛くなったらいらっしゃいと)最初のころは地域で生意気な歯医者で有名になりました。なんで私が悪徳医ですかね?現行の保険制度は、疾病を悪くして、たくさんの差し歯入れ歯を入れ、寝たきり老人が多いほうがお金になりますよというのが、現行の制度である。 
 場所も、説明も要らないし、スタッフもいらない、1本抜かれ、2本抜かれ、その上回転が良い。儲かります!!だから日本中にコンビニより歯医者が増えるのも理解できると思います。これはあくまでも転職して歯科界に身を置いて50年以上の私の個人の感想です、誤解の無いように。
 では何が言いたいかというと、会社と歯医者は収入体系が180度異なる。会社は不良品を作ると倒産、歯医者は口の中を----するとお金になるわけです。 
 私の医院はガンを治療している先生と同じことがしたい。人間を生かして、病気の部分を取るか、共存させる。歯だけ残して病気を取り除いて、生涯に渡り自分の歯で物を食べて、天寿を全うする。これがしたい。 2023-12-16


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88.《私の転職人生 虫歯その3》


私の転職人生、虫歯その3             第88回
 もともと口の中に虫歯が生えてきたわけではないのです。ですからもし総入れ歯の人に40年50年タイムスリップして、小さな虫歯を治療したら虫歯が原因で総入れ歯になる事はありえないわけです。患者さんの口の中にキレイに歯が残ったわけです。お金もかからないし痛い思い嫌な思いもしない。
こういう話を一般的に臨床の現場ではしないわけです。(理由は後で述べます。)
ここで虫歯の進行の仕方を良く理解する必要があります。いったん虫歯に侵されると、虫歯の進行は必ず歯牙の中心へ、中心へと進行していきます。この現象はゆっくり進むので一般に殆ど気づきませんし痛みも全くありません。
 やがて虫歯のバイ菌は歯の中心にある臓物(世間では神経と呼びます)を侵すわけです。当然強烈な痛みが起こります。この痛みを除去するのはとても簡単です。頭が痛い時に100%頭の痛みをとる方法があります。友人の脳外科医に教わりました。これは特別に教えるけれど決して真似をしてはいけません。では教えましょう!!脳みそをすべて取り除けば痛みが取れます。そんな馬鹿な!!この考えはおかしいですね!!
今度は真面目な話、歯が痛い時に歯の中の臓物を全部取れば当然歯の痛みは取れますね。ここから先が問題です。巷で痛いから神経を抜いてくださいと簡単に言いますが、それは別な言い方をすると痛いから歯を殺してくださいというのと同じです。おかしいですね?  いったん臓物の中にバイ菌が入るとここからが大変。中に入ったバイ菌はなかなか死なない。中は温度があり、さらに根の先端からはバイ菌の餌が毎日供給され、根の先端から血管を通じでバイ菌が体中に拡散される。時にはそれが心臓に到達して心臓の弁におできが出来る。これが弁膜症の原因の一つになるわけです。
以前に私と同年齢のおばあさんが、これから心臓疾患の手術をするので、その前に歯医者で歯を診てもらいなさいと言われたと来院されました。消化器官疾患の手術でも、先に歯を診てもらうようにと、優秀な外科医は知っているようです。歯の根の先から出たバイ菌は全身に回るだけではなく根先端の骨を破壊していく。
ではなぜ全身が腐って無くならないかというと体には皆さんご存じのように抵抗力がある。(コロナも同じ)だから周りの骨が毎日先端部の骨がバイ菌にやられないように一生懸命におさえている。それをレントゲンで見ると多くが丸く骨が無くなる。世間で言う神経を抜いてもその後すぐに痛くならないので殆どの人が気づかない。
 やがて2~5年経過して体の抵抗力が低下した時や、バイ菌の力が強くなると火山の噴火した様なことが起こるわけです。先生大変です歯が腫れました。エー? 私は転職して歯科界に入り、たくさんの患者さんを診てきたがあんなに硬い歯が腫れたのは見たことがない。  硬い歯が腫れるはずがない。わかりましたね!!これは根の先端に溜まった膿が火山の噴火の様に飛び出して顎の骨と粘膜の間に膿がたまる。これを世間では歯が腫れたというようです。この原因を治すために歯を抜くわけです。頭が痛い時に脳みそをとれば痛みが取れるように、歯が痛いから中の臓物をとると先端から出たバイ菌が悪さをするので歯を抜けば当然痛みは取れて顎の骨が破壊されるのを防ぐことが出来たわけです。
一言で言うなら歯の死骸が骨に埋まっていれば、やがて歯は、トゲと同じになる。トゲが刺さったらトゲを抜けば痛みが取れるように歯を抜けば当然痛みは取れるわけです。
 この事実をグラフにすると理解しやすいです。横に年齢、縦に抜かれる歯の数のグラフを作ると男も女もあまり変わらない。だから多くが神経を抜いてから10-20年経過すると以上の理由で口の中から歯がサヨウナラするわけです。
 女の人に、あなたは子供を産んでカルシウムをとられたから歯が悪くなった。と言います、では男は子供を産んだのですか?又、あなたは歯の質が悪いですね、お父さんもお母さんも歯がないでしょうと言ったら直ちに納得。多くの大人の歯がないから。
 歳だから。歳だからというなら30代、40代で抜かれるのは歳ですか?
私は歯の質が悪いと真面目な顔をしていう人が多い。では質が悪いなら2-3本抜かれた歯だけが質が悪くて、その場所だけで甘いものを食べていた、ですかね?このようなキーワードをうまく使うと患者さんの思考力は直ちにストップし納得するようです。(私は言いませんが)
そのように考えると、歳、歯の質、子供を産んだからでは? ほぼ関係がないようです。
では30代で抜かれたのは歳だから? 質が悪い? レントゲンで診ると、1-2歯の質が悪く、何で全部なくならないの。質関係ないし、歳関係ないし子供産んだのも関係ない。では何ですか?
 実は本当の原因は虫歯で歯が抜かれるのは、ほんの小さな虫歯を殆どの人が治療をしない事実。中には最近小さな虫歯は自然に治ると言う歯科医師もいるようです。本当ですかね? 病理学的に見たら何かの勘違いがあるとしか言いようがない。専門家の事はさておき。
 結論から言うといくら歯医者に行っても、やがて差し歯から総入れ歯になる人が多いわけです。(昔は歯科医師が少なく、小さな虫歯は問題外だったという歴史があります。)
 私の話はテレビに出ている占い師よりはるかに正確です。理由は科学的なデータから話をしているからです。あの人たちのする未来の話、霊魂とかの話を誰も否定できない、そしてものすごく稼いでいても誰も非難しない。
 歯に関してここから先がとても難しい。なぜならお金にならないから。世の中はお金の流れを追えば政治家も、その他の問題も理解しやすい。
 もし私が話していることを理解したら歯の医療費は激減する。昔昼のテレビ医学番組ですら教えてくれなかった。
 世の中にはいろいろな病気がありますがムシ歯ほど勘違いをされている病気はない。
相当インテリでも虫歯の治療は金や銀を詰たり歯を切って差し歯にすれば治ると思っている。例えば指が化膿したときに金を巻けば治りますかね?治らないですね。では虫歯に金を詰めれば、いや ダイヤモンドはいかがですか?   2023-11-4

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87.《私の転職人生 虫歯》


私の転職人生 虫歯2           第87回
正常な顎とは全部の歯がそろっているのが正常。手足の指も全部そろっているのが正常。
指が化膿したときに指を切断して、差し指は異常でしょう?
鼻の頭がないのと、歯がないのとどこが違うのかというと顔の中で場所の位置が2-3センチ異なるだけ。鼻の頭が無くなると大騒ぎをするようですが歯が無くなってもあまり問題にしないのはなぜ?
これは価値観が異なるからだと思います。多くの人は鼻の頭にはダイヤモンドの様に価値を認めるようですが、それに比較して歯は殆ど価値を認めないようです。髪の毛が無くなるような感じを多くの人が抱いているようです。
いいですよ。しかし、それが人生の後半でものすごいお金が必要になる事実。
ここから先が大事。これらの事実をよく理解するためには、歯の構造をよく理解する必要があります。
 歯の下には、とても長い木のような根を顎の骨の中に生やしています。
 バカなことを言うな!! 肉の中に埋まっているのでは?実は歯肉のすぐ下の骨の中に生えています。ですから、歯を指でゆすってもグラグラしません。また歯周病で歯を支えている骨が無くならない限りグラグラしません。とてもしっかりして噛む力を顎の骨に伝えているわけです。歯肉がなくて顎の骨が出ていると、みそ汁を飲んでも風が吹いても痛いので、上に薄いジュータンを敷いたように歯肉が乗って骨をカバーしているわけです。お尻を押すと肉がへこむが、歯肉を押すと硬いのは、肉の厚みの違いを理解できると思います。
 それをレントゲンで見てみると、パノラマレントゲンは、半円状の顎をギュッと平らに伸ばしたのが通常使う画像です。上下の顎や鼻の骨などは素人が見ても分かりやすいです。その画像で歯を観察するとかなり長い根が顎骨の中に木の根の様に生えていることを確認できます。だから非常にしっかりしています。更に根の真ん中を見てみると、黒い筋状の画像を確認できると思います。これを患者さんに何だと思いますか? と聞くと、殆どの人が自信を持って神経、神経と答えます。ブブー!! 間違いです。これを神経と考えると歯を正しく理解できなくなります。では何ですかと聞かれたら歯のハラワタ、歯の臓物です。では何で入っているかと言うと歯が顎の骨の中で生きていくために必要な臓物と考えると理解しやすいと思います。
患者さんも私もお腹の中にハラワタが入っています。一言で言うなら生きていくために必要なものが入っています。歯も全く同じで一本の歯が骨の中で生きて行くために必要なハラワタが入っています。何も神経だけがピローンと入っているわけではありません。中には心臓はありません。手も足も指も心臓もありません。心臓から細い血管で血液を供給しています。ですから歯を強く打撲すると、この細い血管が切れて身体は生きていても、歯は死骸になり死人と同様に変色します。ただ指とかと異なり歯の中の臓物はメチャクチャ弱いです。ですからもし臓物をチョットでも突っつかれると天井まで飛び上がるほど痛いわけです。歯医者で経験した人は多いと思います。
 だから痛くないようにしっかりした鎧をまとっているわけです。脳みそは、頭蓋骨、髪の毛、オートバイを乗るときにはヘルメットをかぶるわけです。あれは脳みそを守るために行うわけです。歯はヘルメットより硬い石ころのようなもので覆われています。 これほど硬い部分が虫歯という病気に侵されると、その硬い臓物を保護している部分が、いとも簡単に溶けるわけです。結論から言うと歯の溶け方の特徴はあたかも栗に虫が食ったようなので虫歯と言うようです。残念ながら私は虫歯と名前を付けた人に会ったことがないので知りません。
 一見すると表から見ると全く何でもないような歯でも、歯と歯の間をレントゲンで調べると中が大きく溶けていることを臨床的に多数経験します。これを絵にしてみると、入り口が小さく中が大きいので、あたかも栗や野菜に虫が食った様なので虫歯と名前を付けたと思います。
 写真で表から見ると全くなんでもないような歯が、横からレントゲンで調べると大きな虫歯を見ることが多数あります。我々専門家が診てもなかなかレントゲンで調べないとわかりづらい。だから表から見える歯の面だけをいくら治療しも、歯の間を治療しないと、いくら歯医者に行って詰めても歯はやがて無くなるわけです。差し歯の人も、総入れ歯の人も、最初の虫歯は専門家でも見つけることがとても難しい。初期のうちに治療をできないので歯を失うわけです。
 歯のない人が治療に見えたとき、あなたは生まれつき歯がなかったのですか・・?
と質問すると患者さんの反応は、馬鹿なことを言うな、有ったに決まっているでしょうと自信をもって言います。ではあなたは歯があったにもかかわらず、なぜ今歯がないのですかと言うと、「先生、私は忙しい、私は歯医者が嫌い」などと理由を述べます。
 でも最初は虫歯が生えてきたわけではなく、目に見えないくらいの小さな虫歯から始まることは理解できると思います。だから私が主治医で、もし患者さんに、20-30年タイムスリップして小さな虫歯を見つけて治療したら、こんなにたくさんの差し歯、入れ歯は必要がなかったと思います。
 何が言いたいかというと虫歯はいったん出来たら、自然に治ることはありえない。ある一定の限度を超えてから治療に行くといくら治療してもやがて抜かれて総入れ歯になる。手遅れになる。
 歯には治療できる時期の赤信号が存在することを理解できると思います。それを超えてから治療に行くと、世界中どこに治療に行ってもやがて総入れ歯になるわけです。誰かのコントではないが赤信号みんなで渡れば怖くない。これを多くの患者さんが実行しているわけです。だからいくら受診してもやがて総入れ歯になるわけです。これはあくまでも虫歯に限った話です。
                         2023-9-25

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86.《私の転職人生》



小学生の時に目に見えない電気の魅力に取りつかれ、将来は電気のエンジニアを夢見て十代を過ごしました。東京タワーが完成して、そこで見たNHKの技術研究所のテレビの試作品を見学して感激しました。中学時代はラジオの自作、海外の放送を受信し、海外にも興味を持ちました。6人兄弟の下から2番目で大学は無理。従って工業高校の電気通信科に進学。高度成長期の前で工業高校は人気がありました。授業は先生が書いた教科書を使い、特に真空管工学、自動制御は分厚い沢山の数式が並んでいる教科書をその先生が講義しました。
 高校生が理解出来そうもない本を使って、と思っていました。(しかし考え方が後で役立ちました)
あることがキッカケで電電公社に入社しました。 一年で退社、神奈川歯科に入学。歯科医師の道に。当時20歳。最初の2年間はサラリーマンでもないし学生気分にもなりきれず不安定な2年間を過ごしました。友人から英会話の学校の情報を得て、柔道の練習の後に2年半通い、町では水兵を捕まえて英語の実践練習をしました。
 大学隣のベースの中で見学した歯科医療にカルチャーショックを受けて先生を探し、ようやくフランス、アメリカで留学、帰国間もない埼玉の飯塚哲夫先生に出会い師事、8年間の医局と、その後の月一度の研究会を通して電気の知識を生かした歯科医療を目指してシステムを構築しました。医局員時代に、師匠の将来の歯科医療はこうあるべきだと言う哲学に賛同して毎年膨大な設備投資をしてきました。それはチームを構成して無駄を省き効率を上げて高度な歯科医療をリーズナブルなコストでする。例えば技工物を下請けに出したら無駄な時間、中間のマージンが発生、直接技工士との相談ができないなど。
 そのようなシステムの必要性を話して歯科医師の求人をしましたが、いままでの常識に外れるようなので殆ど興味を持つ歯科医師がいませんでした。(一番興味を持ったのはテレビ局)
  設備を作り、人材の教育に明け暮れていたら、あっという間に時間が経過、最前線から退き世代交代となりました。
  今まで膨大な患者さんと向き合い、転職者として何を感じたのかを書きたいと思います。
 多くの患者さんを治療して最初に感じるのは、もし患者さんがもう少し歯のことについて知識を持っていたらこんなに歯を失い差し歯したり、入れ歯を入れたり、歯にお金をかけることがなかった、そのうちに全部抜かれて総入れ歯になることがないのにと毎回初診時に思っていました。
  歯が生まれつき無くて入れ歯を入れたのかなら話が分かります。あった歯が抜かれるわけです。
 多くの患者さんの関心は親からもらった体の一部がなんで無くなったのかという疑問を持つ人がほとんどいない。抜いた後の入れ歯が高い安い、保険が効くのか効かないかなど、インプラントなどに関心があるようです。なんで親から頂いた大事な歯が無くなったのという事に疑問を持たないようです。
 例えば会社の生産ラインで不良品を作ったら、なんで不良品化を作ったのか?
と大騒ぎをすると思います。たかが物だから、いくら不良品を作ってもいいではないか。人生は楽しく生きれば!!  そんなことを言ったら会社は倒産する。一方ある人は人間の命は地球より重いと言います。この言葉の言いたいことは、体はかけがえのないものだと言う事だと思います。それなら大事な体の一部が何で無くなったのかと考えないのですかね?
そのように考える多くの人が会社に行きQCサークルと言って品質管理をしているわけです。だから車や良い電気製品が出来るわけです。しかし管理をしている人の口の中を診ると品質管理以前の問題であるように感じるのは私だけでしょうか? 最もかわいそうなのは一生懸命働いて気づいたら寝たきりになる。多くの人が歯を失い老人になっていた。なんで老人は寝ていなければいけないのですかね?  歩いたら!! 歩行と歯の存在は関係があります。
人間はドリンク剤で生きているわけではない。ご飯を食べて生きているわけです。
 さあ、どういう知識が欠けているのか? この事実を知ると多くの医療費が削減できます。
先ず歯を抜かれる一番の原因の一つ、今回は虫歯に焦点を合わせてみたいと思います。

この病気にかかると体の一部が溶けて無くなる病気という事を殆どの人が気づかない。
 鼻の頭や耳が溶けても決して虫歯とは言わない。では、どこが溶ける病気かというと、
首から上の部分でモノを食べる入り口の病気。これは消化器官の病気と言います。
消化器官とは口から入りグルグル回って、おしりから出てくるまでの器官を言います。
 この最初に食べ物と接触する歯が溶ける病気を虫歯と言います。多くの人は歯が溶けても病気という自覚がほとんど無いようです。しかし、少し下の胃が解けると大騒ぎをします。町の中で私は胃が悪いという人を観察すると、歯が悪い、入れ歯を入れていても、あんな入れ歯、噛めないだろうなーと思うことが多い。なぜなら私は専門家なので二言三言、話を聞けばそれが噛めないのがすぐに理解できます。
 しかし、胃が悪くて時には入院をして手術をしている?
なんで歯を治さないのですかね?
なんで噛めないのに気が付かないかというと、口の中は以前に書いたようにジワリジワリ悪くなり世間でいう感覚がバカになってしまう。この意味は掃除機や車の様な機械は性能が良いとか悪いとかカンタンに他と比較できるが、口は他人とほとんど比較できない。
  虫歯と言いますがその中身を知らない人が多いようです。先ず正常を理解しないと異常が理解できないとおもいます。ほとんどの人は歯の正常を正しく認識している人がほとんどいないようです。             
                               2023-6-4

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85.《感覚のダイナミックレンジ》


人間は感覚に対するダイナミックレンジがとても広い。この用語は電気の分野で多く使われます。言葉の定義は簡単に言うと、処理可能な信号の最大値と最小値の比率を現した数値のこと。 人間の感覚も脳で伝達物質に代わり同じように表現できます。
 歯科の分野でこの意味をよく理解すると、生物の環境適応能力がいかに優れているかが理解できると思います。 太古の昔から人類はいろいろな困難に会い、それを他の動物とは異なり大脳を発達させながら地球上に人類だけが異常に繁殖したといってよいと思います。それを可能にしたのがこのダイナミックレンジの広さだと筆者は考えています。
 ではそれについて歯科医療の分野の現象を理解すると噛める、噛めないなどのことが理解できると思います。あることがキッカケで歯科の分野に転向しました。 (以前に記載あり)転職以来膨大な時間を歯科界で過ごしても、何時も頭の中は多感な時代に勉強した電気理論の考え方が有ります。思考の中心が電気だからです。
 医局員時代は、歯科医師が少なく、子供も大人も口腔内疾病は多くが教科書に載せられるくらいひどいものでした。勤務していた歯科の専門病院は多いときには一日400名くらいの患者さんが来院していました。 補綴を除いて一番多く担当したのは口腔外科でした。当時大人も子供も今の患者さんの口腔とは異なり口腔外科の対象の患者さんであふれかえっていました。メインの疾病は、虫歯、歯周病をひどくした為の抜歯。
 又、埋伏している親知らずの抜歯、その他の外傷がメインでした。入院設備もあり一般の歯科医院ではあまり見られない珍しいケースも多数経験をしました。
 特に抜歯に関しては一人の歯科医師が一生かかっても経験できないくらいの症例を短期の間に処置しました。
  その後自分で開業して、更に多くの複雑な症例の臨床経験から、電気で言うダイナミックレンジの考えを歯科医療に当てはめて考察しました。
 歯がすべて残っている人を100パーセント。(我々の業界では、完璧な咬合というものに、バラつきがあるようです。これについて説明をすると長くなるので今回は辞めておきます) 死は機能しないので0パーセント。
 では、歯をすべて失った人は私の感じでは20%。噛めないから0ではないのかという質問が来そうです。歯を失うと、その機能を補うために舌、頬の筋肉が噛むのを補助します。(この現象が後に入れ歯を困難にします)
 口腔は前歯、奥歯にそれぞれの働きがあります。  前歯は主にかみ切ると同時に顎をコントロールする働きがあります。奥の歯は食片をすりつぶす、だから臼歯と言います。
  噛む力は主に、左右の顎関節と、6才臼歯でバランスを取ります。だから一番奥の歯がなくても噛むのには全く問題がありません(自分も有りません)逆に奥の歯があっても6才臼歯(親知らずを除いて奥から2番目) この歯牙を失うと殆ど噛めなくなります。更に、咀嚼時に全ての食塊をこの部分に集めます。 ですから入れ歯を作るときに、この歯牙を中心に他の奥歯を配列します。この基本位置が狂った入れ歯はクレームの対象になります。(多数の噛めない入れ歯からも学びました) そのような理論を理解して機能咬合器を使って作られた総義歯などは、歯がそろっているが歯並びが悪い人、歯周病で少し歯がぐらついている人より、はるかに良く噛めます。(多数の総義歯の患者さんの感想)歯がそろっている人より自分の方が遥かになんでも噛めると自慢をしている患者さんも多数存在します。
 歯が無くなると直ちに死が訪れるなら話は別ですが、歯を失うと、例えると、ボクシングで言うボデーブローを打たれれてジワジワ体力を失うようなものです。
 そこで最新の論文で歯の喪失による死亡リスク増、大幅な体重減少が関連しているとデータが出ています。(東北大の研究)
65歳以上の高齢者の追跡調査で残存歯が19本以下だった人は20本以上の人に比べて死亡リスクが1.28倍高く、その13.1%に大幅な体重減少が関係、更に社会的に孤立するリスクが高いなどの報告があります。
 当医院で治療した経験から、初診時に今まで仕方がないと言いながら食事をしていた患者さんを多数診ると、そこから一つの共通点が見られます。前述したように舌、頬の筋肉が適応して結構その環境に慣れていること。なぜなら車の様に他人と比較ができない。人間の環境に適応する能力がこんなに高いのかと何回も感心しました。更に多くの患者さんが歯牙の喪失は消化器官の病気だという事を知りません。脳梗塞などの血管障害の患者さんを多数治療しました。友人の脳外科医からの紹介からも実感します。 しかし、多くの患者さんに歯が何故無くなるのかという説明をすると、歯が無くなるのは病気ではなく頭の毛が薄くなるのと同じだと考えている患者さんがいかに多いかと驚かされます。(これに関してはいずれ理由を書く予定です)
中には、歯がなくてもキンさん、ギンさんの様に長生きをしているという人もいます。
 これはマスコミが良く使う手法で特殊なケースを普遍的なケースの様に報道するので、
だまされるようです。自分も取材3回、テレビ再放送を含めて4回の出演経験から理解することが出来ました。
 最近娘夫婦に仕事を任せて自分の時間が出来、前回書いた様に教科書、洋書、雑誌、多くの文献をPCに入力時に目を通しました。 そこで気になるのが西洋人の口腔と日本人の口の中がかなり異なる事。前にも書きましたが長い間、日本人と彼らの主食が異なるので、米が主食の日本人はキャシャな顎が多い。それを知らないで西洋の教科書を真に受けて日本人の口の中を処置する危険性。しかし噛めなくても人間の咀嚼に対するダイナミックレンジは大きいので少づつ感覚が狂ってくるようです。歯医者が良く言う、そのうちに慣れない靴に慣れるように入れ歯に慣れてくるから大丈夫!!。 その後は?
2023-3-22  少し原稿を休みました。春になりました。再会デス!!!!

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84.《探検》

ジジイの探検は若者とは異なります。蓄積した膨大な医院のサーバーと自分のPCのデーターベース内の世界が対象です。
大学時代、教授の部屋に行くと多くの専門書が並んでいて、自分もいつかはあのような本をそろえてみたい、また、お世話になった飯塚哲夫先生の部屋にも今迄見たことが無いくらい図書館並みに多くの洋書が並んでいました。時々ヘマをして同期の医局員と先生の部屋に呼ばれてお説教の時は、いつも話は右から左に聞き流して(スミマセン!!)視線は部屋の中にある膨大な本の種類を頭に入れて興味のある本は後で歯科材料の業者からツケで購入しました。おかげてボーナスは多くが本代に消えました。
 情報の大切さを身にしみて感じていたので、それらをどの様に整理したらよいのかと、いつも考えて院内のシステムを構築してきました。整理の仕方の本を何冊も購入。それらの方法をまねて袋で整理、段ボールに、スチールのラック、切り取りの資料などで整理した経験があります。いずれも場所が必要になり、また、アクセスするのに時間がかかる。何か良い方法はないかと最新の事務機カタログなどを調べたり展示会,講演会に多く参加しました。多くの異業種の展示会にも何回となく通いました。何時も頭の隅に、どの様に情報整理をするかという問題をいだいて仕事をしていました。これらのシステムを組むためには歯科医療の基本的な哲学が必要なことも事実です。
 上記の方法をいくら試しても満足できませんでした。スペースと、アクセスに時間がかかり難しくなる。 レントゲンも袋で管理をすると時間とともに多くの場所とアクセスが複雑になる。 学術的な患者さんのスライドも場所を必要とする。ある先輩の歯科医院に行ったときに大型のロッカーに膨大なスライドがありました。
 コンピュータで処理できないものかと海外の学会でデジタル化の程度を出席の時に毎年調べていました。しかし最初はPCの能力が低く情報を管理するには力不足。それでも何時もコンピュータの性能の情報収集。コンピュータの周りをウロウロする感じ、そして、性能の低いPCに高額投資して失敗。最初はプロ用のワーブロはそれなりの機能があり、高額なお金を出してシステムを組んだが失敗。医科の学会に参加して展示会場で見たスタンドアロンの画像ファイリングシステムに出会い、これだと飛びつきました。
 それは結論から言うと大企業が使うようなスペック、今から考えるとメモリーディスクは5インチ、容量はたいしたことがない、その上スピードが遅い、メインテナンス料金が高額、当時はあまり個人的に使っている人が少なかったようです。10年くらい使ったような記憶があります。そしてPCの性能が飛躍的に向上して画像ファイリングに特化したファイリングのソフトに巡り合い、スタンドアロンの欠点をよく理解したので、院内にLANの配線を全ての部屋に配線。スタンドアロンを中止しました。そしてデータをコンバート。個人とデータと共有するシステムに改良。
異業種の情報収集は、我々の業界が今後どのように変化していくのか仮説を立てて、そのために何を準備したらよいのか自分なりに行動をしてきました。しかしそれはだんだん業界の常識に外れて、次世代にそれを伝えるのがとても難しいことも事実です。
 新しいシステムは、自分の知る限り歯科業界では誰もやっていないのでエビデンスがありません。すべて試行錯誤。忙しい診療をしながら休みを返上して、いろいろな紙の媒体を電子化しました。
 現在までにA3高速スキャナーを2台つぶして現在は3代目を活用。プロ用の性能は本当にスゴイことを最近実感しています。院内ではミッドレンジのサーバーを2台、院内の
受付事務、カルテは手書きが原則ですが、ある程度増えると分割してPCに保存、CT、
パノラマ、デンタルのレントゲンは、院内のサーバーを介して瞬時に閲覧可能になり、診療効率が飛躍的に向上。投資分は効率の高さでかなりリカバリーできたと思っています。さらにデジカメを現在何台も用意して画像も入力、長期予後の変化を目で見ることが出来ます。 院内のLANシステムは共用する部分と、自分専用データはPCのソフト上でスイッチして管理。その間に何台もクライアントのPC(これらは中古でも全く問題なし)は交換。
 使い方は使う過程でアイディアが出てきます。個人的に集めた膨大な本は、カットして入力し処分、残しておきたい本はコピーして別な本棚に保存、本棚がガラガラに。
 最近ほとんどの本はディスプレーで読めるようになりました。特に古本屋で手に入れた本の中には、謹呈、とか、中には定年退職した挨拶の手紙などがあり、家族が生前の本を処分したような形跡があり、カットして入力、元の持主に感謝して処分しています。  そして時間があると膨大な貯蔵した自分が興味のある色々なジャンルの本に瞬時にアクセスできるようになりました。それはまさにPCの内部の探検です。子供時代のラジオ番組で、ジヤングルや砂漠の探検番組を聴いたような感じです。歳を重ねても刺激的な体験です。今まで忙しすぎて十分に本を味わうことが出来なかった。小さな字は大きくしてみることが出来るし、ページめくりは簡単。例えば東京タワーのミニチュアを見るのと現物を見るのとでは頭に記憶が異なるように、大画面で読む本は、意外と頭に残るものです。また、本の中に自分のアイディアや、写真を挿入できるので、とても効率的に考え方や多くの先人が残してくれた知識を頭に入れることが出来て、とても満足です。これまで膨大な無駄な時間を費やした感じがしますが、短時間で探検をして自分の頭のメモリーの劣化を補い、データ
構築の時間は無駄にはなりませんでした。
 こんな面倒なことをするより、インターネットで調べたらよいという意見が聞こえてきそうです。しかし、インターネットは色々な宣伝や、時には資料獲得にお金がかかります、現在は隣にイン―ネットのマシーンを並べて、お互いの長所を使い、ディスプレー上で探検を愉しんでいます。ここまでくるのに時間がかかりましたが、歯科医療で使うなら、現在のシステムで十分と思います。また、CAD、CAMの利用などは院内のインフラが整っているので。いつでも使うことが出来ます。
多くの試行錯誤をしましたが、あっという間に、第一線から退くことになりました。しかし、これからも、後輩に色々なアイディアや治療経験、それらのノウハウを院内のPCを使い、毎日保存をしています。セキュリティはどうなの? と質問がありそうです。それは今迄に多数の失敗をしてきましたので、ノウハウの蓄積があり問題なし。第三の人生は結構退屈しないようです。      2022-3-30


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83.《入れ歯の話》

 世間で入れ歯の話をすると、直ぐに保険の入れ歯、保険外の入れ歯の話になるようです。これは、盲腸の手術に保険、保険外? そのような知識を一旦頭のオールクリア―ボタンを押して入れ歯を考えたいと思います。
 先ず患者さんの歯を治療して残せなかったという事は、歯科医師の敗北であるという前提に立つ必要があります。では歯を抜くという事を科学的に考察してみたいと思います。噛む時に上下の顎に自分の体重を支えるくらいの力が加わるわけです。これは親知らづを除いて28本の歯の根っこで力を受けるわけです。さらに正確に言うなら上下糸切り歯から前12本は噛む力を受けるのではなく別の働きがあります。したがって残る奥の16本で噛む力を受けるわけです。奥の歯の根の形は、あらゆる力に耐えられるように根の形が、アサガオの様に開いたり、ガニ股のような形をしたり人類の進化の過程で、その食べ物に合わせて形が進化してきたようです。根の面積を全て足すと、かなりの面積になるものと思います。ですから強い力で物を嚙ことが出来ます。
 では入れ歯を作る場合、一番大事なのは、元あった根の面積か、場合によってはそれ以上の面積で噛む力を顎の骨に伝えなければいけないという事です。そのためには最初の段階で入れ歯の型を取ることの大事さが理解できると思います。この型をとることがとても重要です。一言で型を取ると言いますが歯を失った口の中の構造をよく理解しないと必要な根の面積に近くすることは不可能です。
 歯を無くした顎堤の型をとるなら簡単です。既成のトレーで印象材を入れてとれば完成です。これが殆ど現在行われている一般的な方法です。しかし、歯を失った口の中の筋肉の付け根は人によりすべて異なる事や、歯を失って時間がたつと歯の代わりに、以前に書いた様に、頬の筋肉と舌の筋肉が歯の代わりをして、型をとるときに入れたトレーと材料を異物と判断するので、それらに抵抗して、型をとった面積を大きくすることが不可能です。ですから出来た入れ歯は小さくなります。すると歯根の面積に対してとても小さい義歯が出来上がります。(これは歳とは関係なく顎の骨を著しく吸収させます)
 出来る限り広い面積の型を取ろうとすると、頬の筋肉と舌の筋肉が邪魔をしてもそれに対抗する型の取り方が要求されるわけです。それに対処するのに考え出されたのが3回に分けてとる方法です。上下の型を取るために既成のトレーではなく、その人に会ったトレー作成が必要です。これが出来たら口の中を指で細部まで触診して噛む力を受けられる骨、粘膜の部分を十分に事前に頭に入れる必要が有ります。
 教科書では筋肉の動く部分は避けるとありますが、筋肉の可動部の上まで型をとる必要があります。何故なら咀嚼時に筋肉が動く部分は、すべての筋肉が動く部分とは異なるからです。目的はいかに面積を広くするかにあります。そのために個人にあったトレーに、少しずつアメのような少し柔らかい材料をヘリに足しながら触診、材料を少量加えて口の中のわずかな隙間の型をとっていきます。片方の型を採得するのに1時間以上かかります。下の顎は全体に筋肉の可動部分が多いので、なかなか面積を限界まで広げることが難しいので熟練の技が必要です。型が取れたら、それを技工室でその型を崩さない工夫が必要になります。これは共同作業しないとうまくいきません。
 型を模型に興す場合も限界まで大きくする工夫が技工室で加えられます。
次に入れ歯の床を一般の入れ歯を作るように精密にレジンに置き換えます。
この床を使い、顎関節を基準に機能咬合器に付着します。(この操作はとても熟練を要します)当然噛む面の人工歯は金属になります。これは機能咬合器を利用しないと不可能です。
歯の色や形を患者さんの顔に合わせて試適して制作します。さらに機能咬合器の上で微調整します。機械と顎の動きは連動していることが前提条件です。装着時には殆ど噛む面は調整する必要がありません。
 このように作ります、最初は多くの患者さんが入れ歯の大きさに戸惑いますがすぐに慣れます。現在までにテレビ出演後や義歯のトラブルなどを通じ多くの問題の有った入れ歯の考察を下記にまとめました。
1、 多くの型(正確には機能印象)が不十分 2、噛み合わせが顎関節を基準に取れていない。3、下の顎は横から見るとハサミと同じ原理で動いている、当然奥に行くにつれ力が増す。前歯は奥の顎を弱い力でコントロールする役目の意味が理解できていないようである。4、前歯の位置が下の消失した顎の骨より唇側に出て、顎のコントロールが不正確 5、噛む力を受ける奥の歯の配列が問題。奥の顎堤の斜面の上に歯が配列してある。その部分に力が加わるとスキー板の様に滑り、入れ歯が安定しない。6、奥の歯は4本必ずしも並べる必要がない。奥から二番目の6番に噛み合わせの軸が来るので顎堤の斜面の上に歯牙を配列せず3本で済ませる場合もある。7、口蓋の部分の入れ歯の床の位置があまり奥だと、モノを飲み込みにくくなる、8、上下顎の距離が間違って低いと舌を噛む、高いと入れ歯をいれていると疲れる。
8、噛み合わせの狂った入れ歯をいれていると、関節の円盤が変形するので、それがある程度収まるためにはエクササイズデンチャーで関節円盤を安定させてから機能咬合器で精密な入れ歯を製作する必要なケースがある。せめて上記の1-2つくらい守らないと、いくら調整に時間をかけても入れ歯は安定しない。不定愁訴の原因になる。
 自院でのトラブルを含めてテレビ出演後に来院した多くの症例から、以上のようにまとめることが出来る。
 入れ歯は、全ての人の顔が異なるように、歯を失う過程で咬合のトラブル、それが引き起こす顎関節の変化など多数ありますが書ききれないので、この程度にしました。
最後に日本人の顎は小さく、おそらく世界で難しい部類とおもいます。また正しく作られた入れ歯に接着剤は認知症以外に全く必要がない。歳などは関係ないことを記載しておきます。上記の条件を満たした入れ歯の患者さんから、年賀状に何でも良く噛めるというコメントが増えるようになりました。2022-2-23   



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82.《大學入試》

 1月になると受験生は何となく落ち着かなくなるのではないでしょうか。
あの大学に入りたい、こんな仕事をしてみたい、浪人はしたくない等々。
私も人生の中で一回だけ大学を受験しました。
 昭和40年、前回の東京オリンピックの次の年に歯科大学を受験しました。
工業高校なので高校では一切受験の準備をしていませんでした。
 以前に書いたように電電公社(元NTT)の職員をしていましたので何をどの様に勉強したらよいのかわかりませんでした。実は大学に興味を持ったにはそれなりの出来事がありました。麻布の電電公社の寮に入り3か月半の訓練を受けていました。その時に寮の同僚が定年まで勤めたら年金が良いというような話を聞いた時に、ガクッときました。なんと夢がないのだろうと。訓練が終り次第、組織からサヨナラしたいという気持ちが芽生えました。寮で副寮長をしていたので、寮の食堂のアルバイトの大学生と話をするようになりました。その中の一人は、寮の一室に住み込みで朝夕の食事を作っていました。学生にとても興味を持ちましたので食堂に出入りをしてそのアルバイトの学生に近づきました。Yさんはなんと、定時制高校を卒業して関西から上京し、たしか中央大学の理工学部に在籍をしているとの事。身近にまさかの自分が目指す目標の人が出現しました。色々な話をするので、そんなに興味があるなら大学のゼミに一度連れて行っても良いと言うのです。ニセ学生ですが恐る恐るYさんの後について当然学生のような顔をして(内心ドキドキ)どこのゼミか忘れましたが一回参加をしました。それがきっかけで、熱性疾患にかかった様に大学に入りたいという思いが募りました。
 転職を決意していたので時間があると横浜駅の近くの大きな本屋に行き受験に必要な勉強を始めました。高校時代はクラス全員がどこかの会社に就職するのが当たり前の雰囲気でした。しかし中には3-4人くらい大学を目指していた人もいました。
 当方は全くそんなことを考えたこともありませんでした。転職を考えたときに実は無線を通じて海外に興味があり兄弟も多いので海外に移住をする準備と考えました。その為にどこの大学でもよいから大学生になりたい。準備を始めてしばらくしたときに、当時技工士をしていた3番目の兄が新設の歯科大学が神奈川県に出来たので受験しないかと言われました。軽いノリで受験票を取り寄せ、兄が受験に必要な費用を負担するから、と言ってくれました。準備(およそ準備とは言えない程度)をして、当時電電公社の電報課は当然24時間営業をしていましたので勤務は交代制。確か三交代でした。泊りの時は仮眠があり、ひそかに受験の準備をしました。受験は泊り明け、週休、年休の3日間で臨みました。受験会場に到着すると参考書を手にした競争相手がいっぱいいました。昔柔道の試合の時に会場に着くと対戦相手はすべて自分より強いような感じでした。それは自分が納得をいく練習をして臨むなら話は別ですが、今回の受験と同様に大した準備をしていない。よし、こうなったら開き直る以外にない。覚悟を決めて受験会場に入りました。問題用紙が配られました。
 国語、英語、数学、物理、化学、生物、だった記憶があります。最後の3教科は選択で、私は物理、化学を選択しました。問題を見たときにシマッタ!!化学が良くわからない。その時に隣の女子の生物の問題用紙を見たら、中学の時に師範出で優秀なクラス担任の女性の理科の先生から厳しく教わっていたのを思いだしサット手を挙げ「すみませんが化学を生物に変えてください」と頼みました。運よく直ちに問題用紙を交換して頂き中身を見ると、これはいけそうである。数学、物理は何とか、国語は白紙ではまずいのでピント外れでも、兎に角いっぱい書く。あたかもできたような雰囲気をつくる。困ったのが英語。これはもともと自分の頭に英語のデータがない。そこでとっさに和文英訳は、そうだ和文の文章に矢印をつけて簡単な日本語に自分なりに変換。そして中学生レベルの英語に直しました。語学は自分の言いたいことが相手に伝わればよい。と開き直りました。この考え方は後に海外でとても役立ちました。
 さあどうなったのか?受験を勧めた兄と一緒に発表を見に。アッタ。なんと自分の名前があった。受かった。おそらく電電公社の職員を2年していたら、ぬるま湯につかり脱出は不可能だったと今でも思っています。公社の強力な引力に引かれ無理だった。
 書いていたら当時の出来事か昨日のように思い出されました。
 いざ大学生になって最初にビックリした話。同期から君は何教授の関係で入ったのかと言われ、最初は理解できなかった。ソーカ、私立はコネ、カネが物を言うことを少し理解していたので分かりました。6年間のうちで最初の2年は教養を身に付けるという事で、授業の内容は殆どの受験勉強をした連中には問題がないが、当方は受験勉強をしていないので、特に国語、英語は殆ど赤点。追試にお金がかかりいつもオフクロに新しい本を皆が買うので、との理由で大学に多額の追試のお金を払いました。6年のうちの後半の3年からの専門課程では追試は殆どなくなりました。貧乏学生の私の目から見たところ裕福な連中なので、きっと奨学金を受け取る人は少ないかもという事で申し込んだらOK。このお金は横須賀の名所、ドプ板通りで社会勉強の月謝に消えました。
 しかし、歯科医療のことはアルバイトで技工物の研磨を手伝ったり、それらを届けたり、それなりに裏口からの歯科医院を理解していました。しかし、電気理論に比較するとそれらは理論がないようだし今後ライセンスを取ってもハッキリ言ってあのようなつまらないことに時間を割くのはお金だけでなく、自分の本当の生き甲斐になるのか?
 とても悩みました。思いついたのが毎日鎌倉駅を通過していたので、途中下車して時には学校をサボッて八幡様に行きました。当時神社の境内で国宝級の仏像を確か見られたと思います。そして仏像を何時間も眺めて今後どうしたらよいのかと物思いにふけりました。結論は、今の歯科の現状の情報を集めることにする、自分の方針を定めました。大学は一度社会人になるか、海外の様に簡単に休学して自分が長期に何がしたいのか?将来を考える必要性を今でも感じています。これから進路を決める人に少しでも役に立てば幸いです。
 人生一度しかありませんから。幸福な人生を生きるために!!   
                     2021-1-20



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81.《噛み合わせを測る器機》

世の中には目に見えないものを測る器機が山ほどあります。
一例をあげると、現在話題になっているCO2を測定する機器です。
 私の測定器との出会いは、小型の電圧などを測るテスターです。中学の時に小遣いを貯めて秋葉原で購入したものです。当時の形は弁当箱ほどの大きさで、それは現在も活躍しています。中高時代は受信機や送信機の制作に活躍しました。
 転職して歯科学生になり、ある補綴の教授から咬合の新しい機器を製作するが、お前は電気が得意なので、ある会社に同行するように言われました。それは噛む力をひずみ計で測定して咬合を解明したいという目的のものです。
 恐る恐る教授に同行して先方の技術者と話を始めると相手は教授の言うことを殆ど理解できず、また、技術者の言うことを教授は理解できませんでした。その時にお互いに専門家といえども、話しが通じないことがあるのかとビックリしました。
 仕方がないので、その場でお互いの言うことを通訳して話をすすめました。その経験は後に役に立ちました。自分は電気の基本を学んでいるので当然ということが、いかに教授と言えども理解出来ない現実。これは、歯科の知識を患者さんに伝えるときに、自分は専門家として理解をしているが、患者さんがそれを理解するのには、通訳に等しいものを使わないと理解が難しいことを納得しました。そして思いついたその一つが現在の後藤歯科で活躍するコンピューター、システムです。
 歯科界での測定器との出会いは、ムシバをひどくした歯を保存する目的の根管治療に歯の根の長さを測る器機があります。理論は一種のテスターで当時は高額で私のような貧乏学生には手の届くわけがありません。ある日、友人がその機器の回路図を手に入れたので、さっそく調べると無線機に比べると、とても単純な回路図なので直ちに自分で制作を思い立ちました。 秋葉原に出かけ試作器の制作を開始。ポリクリで使用。効果は抜群。そして友人に話をしたら欲しいという人が何人も出てきました。当時インドネシアからの留学生がいて話をしたら欲しいというので、再度秋葉原に出向いて大量に部品を仕入れて、空いた時間を見つけて、自宅でハンダ付けをして何台も制作し小遣いを稼ぎました。
 卒後何年もして同窓会で思わぬ人から、あの時はとても役に立ったとのこと、何台制作したかは全く記憶にないので懐かしい思い出です。
 開業してから華々しく登場したのが、デンタルサウンドチェッカーです。これは上と下の歯の当たる音を小型のブラウン管上で波形をモニターするという、原理はとても簡単な機器です。(しかし高額)会社の触れ込みは、これを使うと咬合の異常を見つけられるということでした。これは、考えた方が全く逆で、関節を基準に歯を作ると左右の波形がシャープになり、顎で共振をするので、関節基準に上下の歯のバランスが取れているかを見るものです。 しかし、咬合の基本的な理論が理解できないと使いこなすことは不可能です。例えば、右と左の高さの異なる靴を履かせて、その歩く動きを再現すると高さによって色々なパターンが出てくるのは容易に想像ができると思います。しかし左右の靴の高さを整えると、歩き方は一定の安定したパターンになると思います。これと同じで、補綴治療で、関節基準に歯を作り、この確認のために利用すると、この機器はとても役に立ち今でも使っています。  当時保険の点数にこれが算定されたので爆発的に売れたようです。 歯科医学的に本当に役に立ち、多くの人が使えば製造中止になることはなかったものと思います。残念ですが現在は手に入りません。噛み合わせを調べる機器は、出ては消えるサイクルが短いようです。
 現在後藤歯科では、噛み合わせの印記したものを電子的に読み取り、そして噛み合わせのエネルギーが左右、前後どちらに動くのかという、コンピューターを利用した機器を利用して画面で確認をしています。これはとても優れた機器です。現実には出てきた波形から、噛み合わせの異常の治療をするというコンセプトで使っています。これも先ほどのデンタルサウンドチェッカー同様に、関節を基準にバランスをチェックするには素晴らしい成果を発揮します。
 残念ですが、これは保険の点数が無いので現在あまり売れていないようです。いずれ姿を消すかもしれません。さらに左右のかむ力を測る器機。これらを利用して、人間の左右の咬合のバランスを整えると足裏のパランスが安定します。 足裏のバランスを見る機器で測定し顎関節を基準に歯を制作すると見事にバランスが整います。
 これらの治療を進めると、歩行が安定してきます。これは、NECとアシックスが開発した高額の歩行の揺らぎを測定する機器で測ると実証できます。また歩幅が広くなったり、手の振りが大きくなったり、体の左右の揺らぎが安定して歩行が明らかに安定したことを確認することが出来ます。 この機器は咬合治療の最後に関節基準に歯を調整し、全体バランスを測定するのに多大な貢献をします。残念ながら歯科用ではありませんが。人間はサルから分派して立ち上がり、特に首と腰に負担がかかっています。これらの機器を使いこなすと、頭(咬合)からだんだん下にアンバランスの症状を出すことの仮説が成立します。
  最後に、咬合のバランスをとる過程で関節の雑音が劇的に消えることを確認しています。この測定に良い機器が無いので自分で自作して測定していますが、どこかの会社がこの測定器を制作したら面白いと思いますが、やはりデンタルサウンドチェッカーのように売れないので制作はしないものと思います。しかし、測定すると、本当にウソのように関節の雑音が消えます。現在自作の試作品でPCへのデータの蓄積からも、とても満足できる結果を得ています。追加として、口唇を噛むようなことも治療で簡単に治ります。
噛み合わせについて、いろいろ書いてきたので、多少概念を理解していただけたと思っています。
これらの現象はコロナの時にマスコミで、ある大臣が薬の副作用をデマ、デマと騒いだのと同様に扱われそうです。残念ながらすべて事実です。しかしこれを第三者が再現するにはスタッフの理論武装、技工士の技術、材料の精度などの問題を解決しないと再現できないことも事実です。ですから世間では残念ながら、エビデンスがありません!!で終りです。

  -2021-12-25  本日は夫婦で友人の病院の開院記念に参加しています。

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