名誉院長のブログPage2


名誉院長

名誉院長からのメッセー

 

歯科衛生士

名誉院長からのメッセージ バックナンバー 《11~20》


20.《急患と歯科医療》
19.《歯科医師教育と歯科医療》
18.《災害と歯科医療》
17.《技工所と歯科医療》
16.《衛生士と歯科医療》
15.《ラーメンと歯科医療》
14.《考えてみればあたり前ですね》
13.《歯科医療と材料》
12.《歯並びと咬み合わせ》
11.《入れ歯の不満は解消できるの?》


<<《Vol 31~Vol 40》   ⦅Vol10~Vol1⦆>>



Vol 20 《急患と歯科医療》

歯科分野で急患(救急医療を必要とする患者)とは? 医院によって急患の定義が異なるようです。過去に何度かテレビ出演をして、遠方から多くのトラブルを抱えた患者さんを診る機会が増え、歯科分野での急患とは一体何やと考えさせられました。
 一般的に急患とは、歯が痛い、腫れた、出血が止まらない、などを指すことが多いようです。しかし、当医院では、入れ歯が割れた、入れ歯が噛めない、噛み合わせがおかしい、関節が痛い、などを直ちに応急処置をして、最低限噛めるようにすることも急患と考えています。
極端な場合、旅行先で義歯を無くしてしまったなどという事も、院内技工室(以前書いた理事長の言葉:技工所と歯科医療)で、可能な限り急いで作製をしているために、急患と考えています。なぜなら食事は、息をするのと同様に生命を維持するのにとても大事だからです。

 先日ある患者さんが遠方から3時間ほどかけて来院し、主訴は歯が痛く、義歯が噛めない状態で、最初に受診した医院では手に負えず、色々と紹介を受けた他の診療所でも義歯を修理するには時間が等の理由でなかなか治療がすすまず、とても困っていました。
たまたま当医院のデレビを見た人に紹介されて来院されました。 後藤歯科ではこの様な患者は急患扱いで、できるだけ早く対応をします。
 また、急患でありながら症例の難しい場合において、歯科医師、衛生士、技工士、の全体で患者さんの治療計画の作戦会議を直ちに行い、治療に臨みます。その結果、先程のケースに関しては3時間ほどでピーナッツを噛めるまでに回復しました。その方は、再び来院した時には、疼痛は無く、義歯で良く物を噛めるとのことでした。   噛み合わせのバランスが崩れると、ひどい症状を出すことがあったが、治療後はかみ合わせも安定しているとのことでした。

 30年以上前は、歯科医師が少なく、患者さんが多いため、これらの処置をすることはほぼ不可能でした。
しかし、時代が変化して歯科医師が増えたにも関わらず、今なお患者さんへの対応はどうやら昔のままの様で、人間の思考を変えるのはとても難しいと感じます。また、難しいこれらの症例は、システム化されたチーム医療で初めて実現可能になると考えています。
ですから、これらの考えを踏まえ新人の歯科医師を教育することはとても難しく、そのためには、手先よりはまず判断力、いわゆる理論に裏付けされた診断力を身に付ける必要があり、これは目に見えず、中々マニュアル通りにはいきません。
そこで、経験豊富な歯科医師に付いてマンツーマンで学ぶことこそが、即時に判断する力を付ける手っ取り早い方法であり、結果的に急患対応にも役立ってきます。

 歯科臨床に携わり10~20年経つと診療及び患者対応の難しさに悩まされるのも事実です。そのために、疑問を解決しようと様々な講習会が盛んに行われているのかもしれません。医局員時代、病院が主催する研究会で、生意気にも司会を多数務めた経験から、年上の多くの歯科医師の生の声を伺い、長い人生の中で個人的には無駄な時間を使わなくて済んだことを定年ハーフリタイアで強く感じています。
歯科医療を本来の医療行為として理論的にとらえると、実は奥が深く医学的に面白いものです。完全リタイアは当分出来そうもありません。


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Vol 19 《歯科医師教育と歯科医療》

 後藤歯科医院は現在4歯科大学(神奈川歯科大学、日本大学歯学部、北海道大学歯学部、東京歯科大学)の研修歯科医協力型施設として教育を行っている。
 学生時代の昭和40年から46年にかけて大学の隣の米軍基地でアメリカの先進医療を
見学した時の衝撃を忘れられず、日本で高度先進医療を教えてくれる先生を求め、英字新聞に広告を出している歯科医院を始め多くの歯科医院を見学した。
高校で弱電を専攻し社会人になり、その後180度 転換し、歯科医師を目指した自分は独学でかなり勉強した。しかしかみ合わせを含め、私を納得させる理論を持つ先生になかなか会えずにいた。
 そして大学4年の時に飯塚哲夫先生(パリ大学、又 交換研究員としてアメリカ ネブラスカ州立大学で学んだ先生)にめぐり合い、卒後 埼玉の歯科専門病院である渋谷病院に入局、140名のスタッフの一員として歯科医療を医療行為としてマンツーマンでとても厳しく8年間学んだ。その間、多くの歯科医師、技工士、衛生士の教育に携わった。
開業後も、病院が中心となり作った研究会に何年も通った。
当時にしては珍しいディベート形式の研究会で、膨大な時間をディベートに費やしたにもかかわらず、実際の患者さんの治療をすると勉強した内容が臨床に応用できず、まさに(真理は口腔にあり、机上にあらず)!!  
それは、治療計画を一方向からしか判断せず、様々な角度から観察する事によって得た情報を生かしきれなかったからである。この苦い経験のおかげで、若いうちから一つの症例を色々な視点から診るくせが付いた。
 37年前の開業当初は、治療システムを構築することの難しさ、当たり前な日々の目標、歯を保存することの難しさ、患者さんの教育、そしてこれらの時間を捻出する難しさを感じていた。当時は、歯科医師が少ないので、歯牙を保存する為にかける一人の治療時間が短く、知識、技術があっても、それを実現させるシステム作りがおおいに必要なことを実感していた。
 歯科界に身を置き、50年が過ぎようとしているが、世間の歯科に対する常識を破るのは、本当に難しいことを、新人の研修医をマンツーマンで教育をしていると痛切に感じる。
しかし、当院の歯科医師が、現在の歯科医療界の問題点に気づき、当医院でがんばっているのを見るにつけ、私の歯科医療に対する基本的な方向が間違っていないことを実感している。最前線で歯科医師教育と歯科医療について指導した歯科医師の数は医局時代を含めて、200名以上になる。真理は口腔にあり、机上には本物は無いようです


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Vol 18 《災害と歯科医療》


 私の両親は関東大震災に遭遇しています。したがって、小さいときから地域の危険な地盤など、防災の知識を叩き込まれました。それらの影響で開業地は地域の一番安全な場所を選びました。でも、町では一番辺鄙な、津波はこない、地割れしない場所、それが現在の後藤歯科の場所です。
 おかげで東日本大震災(3.11)の時も、棚から物は殆ど落ちないし、鉄筋コンクリート作りの壁にひびも入りませんでした。また、災害の備のため、新しい研究棟は地下を備え、各自のロッカーはたいていの大きな荷物が入るものを利用、スタッフは皆、水、最低限度の食糧を各自で備えています。

 現在地球は活動期に入ったと言われています。そして大災害では電気が最大の問題です。
 それらも50kvの大きな発電機を準備して、災害時の電源は全て通常通り稼動させることが可能です。人はオーバースペックと言います。

 しかし、予想していない3.11のような時は如何でしょう。大きな防波堤は役に立ったでしょうか?通常安全と言われる建物は役に立ったでしょうか?一番の安全対策は結局場所です。

 職場選びも駅の近くも大事のようですが、職場と患者さんの安全を考えたことはありますか。産業衛生コンサルタントの講習で、一番安全なことは、やはり場所と言われていました。職場選びも、今後起こる関東地域の地震を考えると、命を守るのに大事なことを考えての職場選びはとても大事なファクターではないでしょうか。

 当医院の新しい院長もお茶の水の近くの大学で被災し、大渋滞する車を避けて、30km以上の道のりを長時間もかけて歩き、家についたそうです。
 これからの時代は、時代の先を読むことが、歯科医療も含めて大切な事です。かつて地球上に起こったことは必ず起こるのが歴史の事実です。平和な時代が長続くと人間は感覚が鈍るものです。

私の父親が亡くなる寸前に言いました。こんな良い時代がいつまで続くのかと。今の中東しかり歯科医療も全く同様です。時代の先端を見据えることの必要性において、まず職場が大切であり、そのおかげでスタッフ、患者さんを安全に仕事や治療することが出来るのです。



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Vol 17 《技工所と歯科医療》

技工士とは、歯科において歯、入れ歯を作る国家資格のある職業です。そして、技工所は、歯科医院から患者さんの歯の型を取った模型を使い、歯の製作をします。最近ではコンピューターを使い、作ることも始まっています。

 後藤歯科では、この技工所という下請けに出すことはしていません。それは、以前にも書きましたが、私は電気関係から転職して歯科医師になりました。したがって、学生時代に習った自動制御、いわゆる、システム工学的観点からすると、これはとても無駄が生ずるからです。先ずは、営業マンが必要、移動手段としての車が必要、時間が必要、移動の事故を含めたリスクが増大、そして義歯が壊れた時などは直ちに修理することが不可能です。患者さんを歯が無い状態で待たせることは、歯が出来るまでの時間を患者さんから奪うことになり、双方にとってメリットがありません。しかし今までの習慣でなんとなく技工所に出す、また技工士を抱えると固定費が増加し仕事内容によっては経営的なデメリットも考えられます。しかし、技工士とチームを組むとメリットの方が断然多いと断言できます。

歯を作るときに、いろいろ患者さんから要望があります。色、歯の形の問題、咬み合わせの確認、また、全ての人の顔が異なるように、正確にいうと、咬み合わせは、すべて異なり、この動きを再現するには、歯科医師、技工士、衛生士のチーム医療が必要になります。当院においてもこれらシステムの教育をスタッフにするのは、とても時間と根気が必要で、開業以来37年間で身に染みて感じています。しかし、これらのシステムが稼働すると、患者さんの要望に合った、快適な、歯を作ることが可能になります。

 後藤歯科では、最近コンピューターシステムが完成して、この連携がさらに高度化しました。高度な歯科医療をリーズナブルなコストで提供する。患者さんからの反応は抜群です。しかし、今までの歯科界にある考え、習慣を変えるのは難しいですね。 転職して歯科医師になり、そろそろ定年を前に痛感しています。


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Vol 16 《《衛生士と歯科医療》


 歯科衛生士とは、国家資格を持ち歯科治療における予防を含め、とても重要な役割を持つ職業です。歯科医師は治療するときに、患者さんの舌を高速回転するドリルから保護したり、出血から手術の部位を確保したり同時にいろいろなことをこなさなければならず、もし千手観音のようにたくさんの手があればといつも思います。しかし、手が二本なので、これらが難しい治療時には、衛生士さんに頼ります。
また、歯の治療を全て完了した後に、長期にわたり、口の中を管理するのは、歯科医師よりも、むしろ患者さんに直接触れる資格を有する衛生士の仕事となります。しかし、それには、管理をする特別な治療室が必要です。ちなみに技工士は、診療室内で患者さんを観察できますが、直接触れることはできません。そのために衛生士の存在は、歯科医院の生命線になります。しかし、この人材を確保するのはとても難しいことです。

 現在日本にはたくさんの歯科衛生士を教育する学校が存在します。また、歯科関係での資格を有する人が歯科医師の数よりはるかに多いにもかかわらず、実際に勤務する人は全体の数から少ないようです。 後藤歯科も開業以来、衛生士の教育に力を入れ、彼らの専門治療室を作り、時間をかけて教育してきました。
 開業以来37年、相変わらず求人は難しいものの、子育てを終わった衛生士がカムバックして、何とかやりくりをしています。これは、ある歯科の材料を扱う会社の所長によると、日本ではとても珍しいことだと言われました。
 やはり、離職した人が、職場に魅力を感じで戻ることは現在の歯科界では、稀有の様です。ということは、歯科医療の捉え方にもしかしたら何かあるのかと最近理解できるようになりました。それは、1つ目は、歯科医師が少なく、患者さんが多いときのやり方が現在も主流なのではないのか。2つ目は、一生涯この仕事をしたいと思える仕事内容なのか。と転職して、歯科界に入った人間として思います。

 私もそろそろ定年です。転職者から感じたことを多く書きたいと思います。それが、今後、若い歯科医師に何かのヒントになるかもしれません。興味のある方は是非見学を。
 あともう1つ、患者さんも治療受けるときは、できる限り素人として必要最低限度の知識を入れておく事をお勧めします。



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Vol 15 《ラーメンと歯科医療》

 先日買い物帰りにラーメン屋に入りました。一番シンプルなラーメンを注文したところ、店員の間違えでギトギトした、色々な手を加えたラーメンが出てきました。返品しようかと思いましたが経験の為そのラーメンを頂きました。

その時ふと、よくラーメンを食べていた医局員時代の事を思い出しました。40年近く前の医局員時代、何処の歯科医院も患者さんであふれ、口腔内の環境は一昨年行ったミャンマーの人達のそれと同じでした。

朝早くから夜遅くまで病院で時間を過ごし、若いので夜お腹が空くと、車でよくラーメンを食べに行きました。その時のラーメンはギラギラしたスープで本当においしいと思いました。

 長い時間を経過して、色々な食事を経験してくると歳もありますが、やはり原点に返ったシンプルな食事が良い様に思い始めました。和食が世界的にブームになるのもあながち歳のせいだけではなさそうです。

 歯科医療も若いときは、口の中に色々な補綴物等が入ってくると、何か素晴らしい医療のような錯覚を覚えました。しかし、開業以来37年色々な症例の予後を観察すると、口の中に多くの補綴物の入っている症例は、あまり予後が良くないことに気付きました。

特に、4回のテレビ出演で、その後に訪れる患者さんのお口の中を見てみると歯科医師の多い国とは思えないような口腔内に疑問を感じました。何故こんなにさし歯、入れ歯、インプラントなどが多いのか?私が電気関係から転職して、歯科界に入ったこともありますが電気回路にはすべて理論があります。例えば、電気を10ボルト送ったとします。しかし、端末で測定したら7ボルトにしかなりません。では3ボルトはどこにいったのか?と常に葛藤していました。

 生まれた時にあった歯が無くなりました、それは老衰なのか、病気なのか?それとも事故で失ったのか?それだけではない何か法則があるはずです。30代でさし歯だらけ、40代で沢山のさし歯に加えて入れ歯やインプラント。長年予後を観察すると、やはり最低限度の処置で歯を残す人の方が断然予後が良いのに改めて気付きます。

 医局員時代に食べた手の込んだラーメン、たくさんの補綴物にあふれた口腔内。どちらも年を重ねると、やはり原点に戻り、シンプル(早期発見・早期治療で歯を残す)が一番の様な感じを、ラーメンを食べながら実感しました。


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Vol 14 《考えてみればあたり前ですね》

 英語の電話怖くない? 歯の治療怖くない?

これら二つには大きな共通点があります。それは、中身がわからないということです。英語では話せない、聞き取れない、発音が良くない、等いろいろな原因がありますが、結論は理解出来ていないということです。

 では歯の治療はなぜ怖いのか、たとえば上野動物公園でライオンの前で腰を抜かした話は聞いたことはありません。しかし、ジャングルでライオンに会ったらきっと腰を抜かすでしょう。それは檻があり安全ということが理解出来ているからです。

 歯科医療もなぜ歯が痛くなるのか、なぜ、抜かれるかということを理解したら、恐怖心は減るようです。長年にわたり、膨大な数の患者さんを説明し、その後の態度を観察していると、これは間違いのない事実です。

 同様なことが咬み合せの治療にも言えます。咬み合せといっても何が悪く、どのような治療を行っていくのかについて患者は理解し辛いものです。それを説明画像で伝えると理解しやすくなります。当院では初診時の口腔内写真、治療説明等、コンピュータで管理しており、このコンピュータがLANで院内に張り巡らされています。

 これらのデータを使って治療していくことで、人生の後半で膨大な医療費がかかることをブロックするとても大事なデータと言えます。

先日、長年通院している患者Aさんの初診の口腔内写真と、最新のAさんの顔貌を比べてみる機会があり、あまりの変化に驚きました。86歳にも関わらず咬み合せをきちんと治すとここまで変化すると、40年以上歯科に携わっていてあらためて考えさせられました。Aさんの了解のもとで、多くの患者さんに比較した写真を見てもらうと、皆さん驚きと、自分もと高いモチベーションをもたれていました。やはり、「真理は口腔にあり、机上にあらず」と実感するのは、治療をフィードバックできるコンピュータシステムを活用することで実感させられます。


 世の中、分からないことだらけですが、当院で歯科治療するときだけでも(いくら質問されて結構です)疑問を解決し、理解して納得して治療を受け、健康な口にしましょう。

 

歯科衛生士



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Vol 13 《歯科医療と材料》


 後藤歯科医院で患者さんから質問を受ける頻度が多いものとして、口の中への材料があげられます。そこで今回は歯科材料に関する当院の考え方を記載します。

まず大事なのは、①体に対して害のないもの ②加工しやすいもの ③入手しやすく口腔内で長期間維持できるもの 以上の条件を満たすかどうかです。これらの条件を一番満たしている金属は現在のところ金(金合金)だと思われます。といっても、薬と違って異物をお口の中に入れることが良いわけではありません。

次に、最近注目されているセラミックについてお話します。審美的に良好な材料で以前は手に入りやすいが少し加工しづらいことがありましたが、現在CAD-CAMを使用することで変わりつつあります。しかし、過去4000例以上の噛み合わせの治療をした当院にとっては、金属に比較すると噛み合わせの調整がとても難しいのです。なぜなら一般的なセラミックは金属の上に1~2mm張られているだけなので、多少の調整で大きく剥がれる可能性が高いからです。そのため、相手の歯とあたっていなかったもの等を見かけることもあります。それにより、噛み合わせのバランスが崩れて、顎が痛くなったり、口が開きづらくなったり、関節の音がひどくなるなどの障害が出ているケースを多く見かけます。また、噛み合わせに問題がなくても、金属に比較すると、食物を噛み切ったり、すりつぶしたりする時に違和感を訴える人が多いのも事実です。

当院は、できる限り、噛み合わせの軸になる歯は、噛み合わせは金属、見える部分はセラミックやハイブリッドで解決しています。製作は難しいですがとても噛みやすいし、後での調整の精度を上げることが可能です。特に、関節の痛んでいる人は、咬み合せの治療中に、噛み合わせの変化が起こることを多く経験します。そのため、当院ではCTを導入し、関節の変化に対応しています。

基本は、その人その人の顎の動き、歯の状態にあわせたて作ることが重要です。何も考えずに材料を使用するということは、靴に例えると大人子供全ての人に24センチの靴を履かせるようなものです。人間は、規格化された道具や機械とは異なります。当然、人の顔かたちが異なるように、噛み合わせも異なります。当院での治療では患者さんの顎の動きを調べ、記録するのでよく理解できます。

今回は材料も顎の動きにあったものが大事ということで終わります。


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Vol 12 《歯並びと咬み合わせ》

世間の常識では、歯並びが良いと咬み合わせが良くなると思われています。わたし自身も学生時代、無批判にそう思っていました。しかし、顎の動きを調べる器械を使い、4000例以上の咬み合わせの治療を行う中で、これは必ずしもそうではないことが分かってきました。

歯並びは、“審美”であり、咬み合わせは“機能”です。では、その基準は何かと言えば、骨や関節です。人間は骨格が出来てからその後に歯が生え始め、咬めるようになるのです。ということは、人間はロボットではないので必ずしも良い歯並びイコール良い咬み合わせとは限らないのです。

戦後歯科医師が少なく、患者さんが多い時代がありました。その時はとにかく、歯を抜いて、とりあえず噛めるようにする治療が主流でした。今年の3月に私が訪れたミャンマーのように、僻地の人の口の中を治療するのであれば、このような治療は仕方ありません。

つまり、痛い所を治療すること、それが歯科治療の原点なのです。しかし、今の日本は世界の基準からすると成熟社会の仲間入り。歯科医師も増え、国民一人あたりの年収も多く、このような社会で、痛みがひどくなってから治療するというのは、医療費がかかり、さらには人生の後半でよく噛めず、噛めないことからくるいろいろな疾病が発生するのです。つまり、痛くなってからの後手後手の治療を行うと、歯並びは崩れ上手く噛めなくなります。

また、咬み合わせを難しくしているのが、歯を失った所をどのように治療していくかであり、失った部位を再構築していくのは至難の業です。当院では入れ歯が合わないと来院される患者さんが多数来院されます。

一般的に入れ歯の作製は下請けに出して作るようですが、顎の動きを調べて歯を作ろうとすると、下請けに出すと歯並びも咬み合わせもなかなか上手くいかないことが多いと、私の長年の経験から実感しています。

例えば、外科医と麻酔科医が常に一緒に仕事をするように歯科医師、技工士、衛生士もチームとして一人の患者を診ていく必要があるからです。一般歯科はスタッフの数が限られているため、大学病院のように大勢でのチーム医療が中々困難です。しかし、後藤歯科ではこのチーム医療のシステムを取り入れることにより抜群の効果を発揮しています。

そして当院ではこのシステムをより効果的にするため院内LANシステムを繋ぎ、膨大なデータを管理し、常に診たいデータを取り出せるようにしています。以前テレビ出演した際にも全国から咬み合わせの治療がそれまで以上に殺到しましたが、IT管理のおかげで、色々なデータを取り出しながら、様々な治療を行うことが出来ました。先に話したように、“審美(歯並び)”と“機能(咬み合わせ)”をいかに一致させるか、この困難な課題(治療)に後藤歯科はチャレンジし続けています。

歯並び、咬み合わせでお悩みの皆さん、治療はいつからでも遅くありません。お気軽に電話してみて下さい。


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Vol 11 《入れ歯の不満は解消できるの?》

最近立て続けに入れ歯が全く噛めなく体調が悪くなった重症患者さんが来院しました。食事もできないとのことで、これはただちに噛めるようにする必要がありと、一日で入れ歯の修理を完了させました。これは当医院の技工士と、衛生士でチームを組んで行う作業で年に何回となく、超難症例に対してのみ実施しています。

入れ歯の修理をした場合、最後はその場でピーナッツを食べさせるという後藤歯科独自のテスト法があります。この方法は、開業後、当医院の建築でお世話になった建築設計士からアドバイスを頂いたことがきっかけで始まりました。以前、入れ歯が噛めずにかなりやせた状態になり当医院を受診され、その後ただちに修理をして噛めるようにし、体調は戻っていきました。

その時、せっかく修理をしたのなら直接どのくらい噛めるか飲み屋で出すつまみでテストしたら?との一言から、この方法は現在まで続いています。


このテストを終わった患者さんは、今まで入れ歯はどこに行ってもいくらお金をかけても噛めないものだとあきらめていました、と皆が同じ感想を述べます。 実は、入れ歯は“カン”とか“コツ”とか言われる方法で修理をするのではなく、入れ歯の基本的な理論があり、それに基づき治療をすれば必ず噛めるようになります。しかし、中には例外があり、それは長い間噛めなかったために顎の筋肉が衰えてしまい、咬み合わせを治しても全く噛む力が無い、というケースです。それは、天然の歯で長い間咬み合わせの悪い患者さんを治療した時も同様な経験をします。

しかし、3~6か月経過すると、噛む力が回復していきます。例えるなら、歩けない人がリハビリで歩けるようになるのと同じです。毎回、入れ歯は噛めないとの感想を聞くにつけて、多くの患者さんが噛むのをあきらめているように感じられます。これが全身にどれだけ影響を及ぼし、医療費の増加に関係するかが心配になります。技工士と、衛生士でチームを組んで処置すれば確実に成果を上げることができますが、そのシステムを構築するまではいろいろな制限があり難しいことも事実です。


それにしても、入れ歯に対する常識を破るのは時間と忍耐のいる仕事だと、転職してから40年以上歯科界に身を置く個人として感ずる今日このごろです。患者のみなさん、入れ歯は噛めます。あきらめないでください。きちんとした入れ歯を作ることで、入れ歯へのストレスはなくなります。後藤歯科もインプラントを行なっていますが、それ以前に第一選択として入れ歯を使うことでほとんどが解決するのです。今の入れ歯でうまく噛めない時は、是非ご連絡下さい。噛める入れ歯にして、おいしく食事をしましょう。


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